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熊谷 亜莉沙 展 "Leisure Class"

2015.06.26 (Fri.) - 07.18 (Sat.)

オープニングパーティー 6月26日(金) 6:00-8:00pm

熊谷の作品は、解き明かされるべき神秘のようである。
若きキャリアの初個展としての本展では、彼女が2014年から取り組んでいるVersaceシリーズからの新作が発表される。
作家の手がけるシリーズの中でもかなり挑発的であり、それぞれの作品には彼女の血縁の一人である男性の威圧的ともいえる姿がクローズアップで描かれている。
彼は、イタリア人ファッションデザイナーのジャンニ・ヴェルサーチによってデザインされたシャツを纏っている。
カラヴァッジョ的解釈のバロック様式風モチーフが画面を構成し、背景からは生地の上を侵食する影が立ち現れている。
男の周りには、深く、静かであるが同時に不穏な空気が流れている。

本展示および展示作品のタイトルである「Leisure Class」という言葉は、アメリカ人経済学者・社会学者であるソースティン・ヴェブレンの著作『有閑階級の理論(The theory of the Leisure Class)』(1899年)の中で定義されたもので、きわめて高価な商品を社会的威信を示すためのみに消費するような人々のことを指す。
熊谷は、バブル期に隆盛を極めた後、近年になってリバイバルされるまで殆ど忘れ去られていたといえるヴェルサーチへ のオマージュを通して、この論理の独自の解釈を表現している。
同時に、自身の血縁の一人を描くことによって、作品と彼女自身のパーソナルなバックグラウンドに強固な繋がりがあることも示されている。
大阪区西九条のハイファッションブティックを家業とする家庭で生まれ育ち経験した全てが、気品と慎みをもって昇華されている。
自身の過去と現在に正面から向き合い、熊谷亜莉沙は作家としてまた一段階段を上っていく。
ギャラリーアートコンポジションは彼女の芸術的冒険の一端となることを誇らしく感じている。

Gallery Art Composition

Artist Profile:
熊谷亜莉沙

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